俺様紳士の恋愛レッスン
俯く横顔は火照りを帯びる。

普段の十夜からは絶対に出てこないであろう台詞に、動揺した心臓は大きく音を立てて揺れる。



「前に『彼氏と別れたら、この6年間は一体なんだったのか』っつって泣いただろ、お前」

「あー、うん」

「あれを聞いてスッキリした」

「……それって……」



十夜も同じだったのだろうか。

優愛さんを想い続けてきた時間が、無に還ることが怖かったのだろうか。



「もう宝箱はいらねーな」



やがて呟かれた声は、淡く優しく。

気まぐれに鳴る葉擦れの音が、そこに含まれていたはずの感情を消してしまった。

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