俺様紳士の恋愛レッスン
こうして売り手が付く展覧会に出展している芸術家は、皆この赤文字を得る為に、作品に多大な時間と精力を注ぐ。

逆に言えば、素人目にはどんなに素敵な作品に映ろうと、この赤文字が付かなければその作品には価値がない。

芸術家の世界とは、想像以上に残酷で、シビアだ。



「タカちゃんの作品はどこ?」

「僕のは隣の部屋だよ」



そう促され、部屋の奥にある通路を抜ける。



「この作品を、どうしてもエンちゃんに観てもらいたかったんだ」



笑顔の先に現れた景色に、息を呑んだ。


私の身長程はある縦長の布のキャンバスに、ペールトーンの色彩が踊る。

ある場所はオレンジに輝いて、ある場所は淋しげなブルーが沈む。

他にも感情を潜ませたグリーン、パープルなど、様々な色彩が肩を並べているのに、少しも喧嘩することなく1つの集合体として見えるのは、全ての色彩が共通して『円』の形を象(かたど)っているからだ。

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