俺様紳士の恋愛レッスン
「今回の契約が決まれば、暫くは収入にも困らないよ。その後は僕の頑張り次第だけどね」



真剣な想いに対して失礼だと分かっているのに、私はどうしても顔を上げられない。

本能が「耳を塞げ」と言っている。



「僕の夢は画家になること。そして、信じて待っていてくれたエンちゃんを養っていくことだよ」



これ以上聞いてしまったら、私は――



「エンちゃん。僕にもう一度チャンスをください」



揺れてしまう。

タカちゃんの想いを、受け止めなくてはと思ってしまう。



「……エンちゃん、泣かないで」

「ッ……」



優しく頭を撫でられ、我慢していた涙がどっと溢れた。


嬉しいのか、悲しいのかも分からない。

ただ酷く胸が痛んで、彷徨った感情は行き場をなくし、涙となって落ち続ける。

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