俺様紳士の恋愛レッスン
「とりあえず、またゆっくり家で話そ? もうここも閉まっちゃうから」

「……うん」



情けなく頷いた私の背中にそっと触れて、タカちゃんは寄り添うようにゆっくりと歩いてくれる。

その温もりに触れて、思い出す。

タカちゃんはいつでも優しく、穏やかな愛情を注ぎ続けてくれていたことを。



「ごめんねエンちゃん、送ってあげられなくて」

「ううん……。片付け、頑張ってね」

「ありがとう。じゃあ、また家で」



はにかんだタカちゃんに手を振って、今出来る精一杯の笑顔を送った。


一歩外に出てみれば、雨の匂いがした。

曇天の隙間から灰色に濁った粒が落ちて、アスファルトをまだらに濡らしていく。

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