俺様紳士の恋愛レッスン
「萌ぇ、今までゴメンナサイぃー」

「もー汚い、これで鼻拭いて」

「萌ぇ、萌ぇ!」

「オタク発言に聞こえるからやめて」



これでもかと泣き、いつの間にか笑い出している頃には、分厚いスモッグはすっかり晴れて、驚くほど心が軽くなっていた。



「……萌、本当にありがとう」

「プリンスホテルのランチビュッフェ」

「喜んで奢らせて頂きマス」



こういう時だけは、自分が単純な人間で本当に良かったと思える。

あれほど悩んでいたはずなのに、今ならいけると、謎の自信に満たされた私は、決意を胸に帰路につく。


家へ一歩、一歩と近付く度に、募る緊張。

熱帯夜の空気も相俟って、滲んだ汗が背中を滑った。

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