俺様紳士の恋愛レッスン
「ただいま!」

「エンちゃん! おかえり」



私を出迎えてくれたのは、いつもと変わらない笑顔。

途端に怯みそうになる気持ちを留まらせようと、胸元のブラウスをきゅっと掴んだ。



「エンちゃん、ごはん食べてきたんだよね? じゃあ――」

「タカちゃん!」



勇気が消えてしまう前に、言わなければならない。



「話があるの」



目を逸らしてはいけない。

迷いがあることを悟られてはいけない。



「……そっか。うん、聞くよ」



タカちゃんは微笑んで踵を返すと、リビングへと戻っていった。

私は低ソールのパンプスを脱ぎながら、バクバクと煩い心臓に「落ち着け」と言い聞かせ、タカちゃんの背中を追う。

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