俺様紳士の恋愛レッスン
「片柳さん、どうぞこちらへ……」

「ありがとうございます」



コツ、カツ、と音色の違う足音が通路に響いて、より虚しさを煽る。

何か会話を、と考えて、ふと思った。


十夜に『タカちゃんと別れることになった』ということを、報告すべきだろうか。

しかし伝えたところで、「だから何?」「俺はもうお前のコンサルタントじゃねぇんだよ」などと、突っぱねられるオチしか浮かばない。



「そ、外、雨降ってないといいですね」



とりあえず間の繋ぎにと、あからさまにどうでもいい天気の話題を振ってみる。



「そうですね」

「も、もう、早く梅雨明けてほしいですね!」

「はい」

「あ、私、昔から梅雨は嫌いでー!」

「はは」



……空振り三振、ゲームセット。

< 322 / 467 >

この作品をシェア

pagetop