俺様紳士の恋愛レッスン
「いや、あの……」

「お前が俺に、指図すんのか?」

「えッ、ちが」

「クライアントのお前が、コンサルタントの俺に?」



ようやく目を合わせてくれた十夜の顔は、眉間にしわを寄せ、眼光を細め、不機嫌を露わにした鬼の形相だ。

その威圧感も普段の比ではなく、すかさず箱の隅に身を寄せたのだけれど。



「って、違う! 私は仕事の話をしてるの!」



気圧されまいと、睨みつけるように十夜を見上げた。



「ミーティング中、あからさまに私のこと避けてさ! 私は頑張って顔見ようとしてんのに。
それにもう、あなたは私のコンサルタントじゃないんでしょ!? 偉そうなこと言わないで!」



言い終えた瞬間、背にした扉が開かれた。

外光に照らされた十夜の表情からは不興が消えて、代わりに微かな驚きが映っているようにも見えた。

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