俺様紳士の恋愛レッスン
「――ッ!」



爪が食い込むほど強く握りしめた拳で、4階のボタンをドンッと叩いた。


あの時のキスと同じだ。

冷たい態度で突き放しておきながら、どうして引き止めたくなるような感情を残していくのか。

どうして私の言葉に傷付いたような素振りを見せるのか。


本当に、ズルい。

フッても尚、十夜は私の感情を弄びたいらしい。



「ムカつく、ムカつくッ……」



耐え切れなくなった涙が、1つ2つと流れ落ちた。

こんな顔で戻ったら皆が不審に思うと分かっているのに、幾ら歯を食いしばっても涙が溢れる。



「十夜のバカ……大っ嫌いッ」



頬に落ちた涙を拭ったら、うっかりリップまで擦ってしまった。

手の甲に滲む赤色を見て、また悔しさが込み上げる。

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