俺様紳士の恋愛レッスン
あんな酷い男、とっとと忘れよう。

リップも捨てよう。

背中も香りも、体温もキスも、全て記憶から抹消して、これからはビジネス仲間としての『片柳さん』と向き合っていこう。

そう心に決めて、荒ぶった気持ちを落ち着かせようとトイレへ向かった。


鏡に向かって一息つくと、ふとジャケットの中のスマホが震える。

まさかと思い、慌てて画面を確認すると。



『篠宮さん、しいたけは食べられますか?』



天使の微笑みが目に浮かび、ガクリと肩から力が抜ける。



「……って。何期待してんの、私」



今しがた、決意を固めたばかりだというのに。

大バカな自分にため息をつきつつ、『大好きです』と返事をして、スマホをポケットへ忍ばせた。




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