俺様紳士の恋愛レッスン
「エン」



丑三つ時、6帖の寝室。

セミダブルのベッドに身体を潜らせて、「こっちに来い」とマットレスをポンポンと叩く十夜。



「待って、ボディクリーム塗らなきゃ」

「そんなん適当でいいだろ」

「マッサージしながらじゃないとダメなのー」



これも全ては十夜に釣り合う女になるためなんだから、と心の中で呟くけれど、ふてくされる十夜が可愛くて、結局適当に済ませてしまう私はやはり女子力に欠けている。



「お待たせっ!」

「おせーよ、エン」



眉間には不機嫌なしわが寄っているのに、布団を持ち上げて「早く」と催促する十夜に、きゅんと胸が鳴る。


十夜は私を、また“エン”と呼ぶようになった。

理由を尋ねれば、単純に「呼びやすいから」だそうだ。

< 377 / 467 >

この作品をシェア

pagetop