俺様紳士の恋愛レッスン
「つめてーな」



そのまま包み込むように手を握られ、心臓が大きく跳ね上がった。

手の甲から温もりがじんわりと染み込んで、耐え難い恥ずかしさに苛まれる。



「ど、どうしたの……?」

「温めてやってんだよ」



ぶっきらぼうに言う十夜は、煩く光る窓の外を眺め続ける。


どこかへ二人で出掛けても、私が十夜にくっつくばかりで、こうして手を握られることなど一度もなかった。

強張った手を震わせると、十夜の手がふわりと解かれ、今度は指を絡め取るように、手のひらからぎゅっと強く握られる。



「……もう冷たくねーな」



不自然な距離感の中央で、不格好に繋がれた手。

薄暗さも相俟って、まるで付き合いたてのカップルのような緊張感が車内に漂い、巻き込まれた運転手は気まずそうに咳払いをした。

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