俺様紳士の恋愛レッスン
渋滞する街を滑り抜け、タクシーは目的地に到着する。

イルミネーションが有名なスポットか、はたまた夜景の綺麗なレストランか。

華やかに膨らんだ幾多の妄想たちは、地に足をつけた瞬間、見事に崩れ去る。



「……ここ、どこ?」



目の前には、見知らぬお洒落な高層マンション。

横を見れば、イルミネーションと呼ぶには細やかすぎる並木道。

後ろを見れば、閑静な住宅街が並んでいる。



「行くぞ」

「えっ? どこに……」



私の問いには答えず、不敵な笑みを浮かべる十夜は、「掴まれ」と言わんばかりに左腕を上げる。

悔しいながらも嬉しくて、素直に腕に手を回すと、十夜は目の前のマンションに向かって歩き出す。

余りに迷いがないので、一瞬マンションではなくホテルなのかと疑ったけれど、自動ドアの向こうには各部屋の郵便受けらしき銀色が並んでいる。

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