俺様紳士の恋愛レッスン
「ちょ、ここ誰の家!?」

「ここの最上階にバーラウンジがあるんだよ」

「えっ!? でもそれって部外者は使えないんじゃ……」



と、慌てる私の横で、十夜はしれっとカードキーらしきものを取り出し、オートロックを解錠する。

口をポカンと開けて固まると、十夜は不敵な色を濃くして笑った。



「行くぞ」



ぐいっと腕を引き寄せて、足早にエントランスを横切り、私をエレベーターの前まで連れて行く。



「エン、こっから目閉じとけ」

「なんで?」

「夜景は一瞬で視界に広がる方がいい」



見上げた十夜の表情には、イタズラを楽しむ少年のようなあどけなさが浮かんでいて、スマートな所作とのギャップに胸が鳴る。


いつからこんな仕込みをしていたのか。誰からカードキーを借りたのか。

聞きたいことは山ほどあるけれど、私は素直にぎゅっと強く目を閉じて、彼の腕にしがみついた。

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