俺様紳士の恋愛レッスン
「なに、着いたの!?」

「ドレスコードがあるんだよ。エン、足上げろ」

「え、足?」



言われるがままに足を浮かせると、十夜は私の足首に手を添えてパンプスを脱がす。

続けて新しい靴と思われるものに私の足を通すのだけれど。



「ふわふわしてる……?」

「こっちも履き替えろ」



案の定私の疑問には答えず、十夜はもう片方の靴も履き替えさせると、私の手を取り立ち上がらせた。



「こっちだ」



王子が姫をエスコートするかの如く、私の指先を握り、前へ前へと導く十夜。

今にも飛び出そうな心臓をコートの上からグッと抑えると、やがて歩みは止まり、「目開けろ」と耳元で囁かれる。


緊張のピークの中、硬く結んだ目を静かに解(ほど)く。

段々と色濃くなっていく視界には、窓いっぱいに広がる夜景と、それから。



「ホームパーティー、始めるぞ」



見知らぬ部屋の中、見知らぬテーブルに並べられたワイングラス。

そして見知った彼の、これ以上なく意地悪な笑み。

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