俺様紳士の恋愛レッスン
「だけど実感わかないなぁ。ここにいるんだよね、赤ちゃん」



お腹に触れても、それらしい膨らみもなければ、これといった変化も感じない。

けれど撫でれば撫でるほどに、不思議と愛おしさが募っていって、ようやく現実という実感が沁みてくる。



「つーか急すぎるだろ……」

「ね! まさか式当日に発覚するなんてビックリ!」



あはは、と笑い飛ばす私に、細められた彼の目が「呑気だな」と言っている。



「ねぇ十夜。赤ちゃんできたって分かった時、どう思った?」



ストレートな質問に、十夜は真顔のまま固まると、やがて私のお腹へと視線を移す。



「正直、戸惑いが大きくてよく分かんねー」

「あはは、私も! でも、ここに十夜と私の“証明”がいるんだって思ったら、単純に嬉しいなーって思ったよ」



そう言って笑う私を、じっと見つめる十夜。

やがて恐る恐る伸びてきた彼の手が、お腹に添えた私の手の上に、そっと重ねられる。

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