俺様紳士の恋愛レッスン
「人の長所を採り入れて、短所を補う。そのまんまの意味だ。
前に、エンは俺の人として足りない部分を補ってくれるって話をしたのは、覚えてるか?」

「もちろん!」



嬉しかったあの時を思い出して微笑むと、十夜は再び、私の頭をくしゃりと撫でる。



「俺らが互いの長所で互いの短所を補うと、理論的且つ感情的で、理性で行動するけれど、本能のままによく笑う……って所か」



説くような言葉は私に聞かせるようで、また、見えない誰かに語り掛けるようで。



「そんな子だったら、いいよな」



慈愛に満ちた横顔に、治まった熱いものがぶり返す。



「欲張りな子だね……ッ」

「そうだな」



私を抱き寄せる十夜の手は、日を追うごとに優しくなり、その笑顔もまた、柔らかくなっている。


それでもまだ、人並みの感情表現には至らないのかもしれない。

けれど彼は、確実にホンモノの自分を取り戻しつつある。


或いは、全くの新しい彼になっているのかもしれない。

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