俺様紳士の恋愛レッスン
「……へっ?」



眉目秀麗な姿には似つかわしくないお言葉に、耳を疑った。



「素直ってレベルじゃないだろ、もう」

「あ、あの……?」



待って、待って待って。

今目の前にいるのは、本当に今朝と同じ片柳さんですか?



「俺は今、貴重なプライベートの時間を削られて、非常に気分がワルイ」



彼の指がスッと伸びて、私の顎先に添えられた。

音も無く持ち上げられた目線と、角度をつけて覗き込むように落とされた微笑。



「なぁ、どーしてくれんの?」



闇に浮かぶ妖艶な笑み。

背筋を伝った微かな震えは、紛れもない警鐘だった。



「……それが素、ですか?」



恐怖に負けじと、そして意識だけは捕われまいと、低い声で彼に立ち向かう。



「スマートで優しくて、デキる男感満載の貴方は、ニセモノ?」



私の言葉に、見上げた片目が微かに細められるのを感じた。



「ニセモノ……あぁ、そうかもな」

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