俺様紳士の恋愛レッスン
背広の端を掴むと、ピタリと止まる歩み。



「まだ何か?」



振り向きざまにあからさまな不機嫌オーラを飛ばされて、怯みかける気持ちをぐっと堪える。



「プライベートの俺に用はないでしょう?」

「よ、用ならあるよ。えっと……そうだ、お詫び! 怒らせちゃたお詫びに1杯奢らせて!」

「は?」



何言ってんだ、この女。

そう思われるのはこれで2度目か。

けれど引き止めてしまったものは仕方がないと、今度は彼の手首を掴み、ぎゅっと強く引き寄せた。



「だって、どーしてくれんのって言われたから! お詫びさせて!」

「いい。断る」

「やだ! それじゃ私の気が済まない!」

「いいっつってんだろ、離せよ」



片柳さんは手を振りほどこうとするけれど、私も負けじと食らいつく。

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