俺様紳士の恋愛レッスン
店内に入ると、折り重なる賑やかな笑い声と、ほのかなアルコールの香りに包まれる。

打放しのコンクリートの壁に、ナチュラルトーンの木製家具がいい意味でミスマッチなこの店は、駅チカながらもお洒落で料理も美味しいと上々の評判だ。



「いらっしゃいませ。お二人様ですか?」

「はい」

「只今混み合っておりまして、少し狭いあちらのカウンター席でしたらご案内できますが、いかがですか?」

「お願いします」

「かしこまりました。ではこちらへどうぞ」



片柳さんは「行くぞ」と目配せして、店員の後を追う。


普段、タカちゃんとならば。

「エンちゃん、あの席だって。大丈夫?」
「うん」
「分かった、じゃあお願いします」

と、なるところだったのに。

慣れないスマートな運びに、調子が狂う。

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