俺様紳士の恋愛レッスン
案内された席は店員の言う通り造りが狭く、ハイチェアに腰掛けた私達の肩は、触れそうで触れない歯痒い距離。



「えっと、なに飲もっかー!」



今更緊張し始めて、上擦る声を誤魔化そうと、メニューをペラペラと捲る。

そんな私に反して、片柳さんは至極冷静な面持ちだ。



「オススメとかねーの?」

「あるよ、レモンたっぷりのサングリア! 私これにする!」

「男にそんな可愛らしいもん飲ませる気?」



細められた目を見てはっとする。

つい、タカちゃんに勧めるノリで言ってしまった。



「そうだよね、ごめん! じゃあモヒートは?」

「じゃ、それで」



片柳さんは意外にも即答すると、通りかかった店員を引き止める。



「サングリアと、グラスでファランギーナを」

「へっ?」

「かしこまりました」



店員は私のポカン顔を爽やかな笑顔で躱すと、足早にキッチンへと戻っていった。

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