俺様紳士の恋愛レッスン
「待って、なにその魔法呪文みたいな名前のお酒! ワイン? てゆかモヒートは!?」

「食前はやっぱ白だろ」

「えっ、じゃあなんでオススメ聞いたの?」

「そのマヌケ顔が見られると思ったから」

「は!?」



この距離で、その顔で、してやったりな笑みなど反則だ。

悔しいだとかムカつくだとか、そんなくだらない感情は、トキメキには到底叶わない。



「――やなヤツ!」



ぐるんっと勢い良く視線を外し、これ以上真っ赤な顔を見られまいと、開いたメニューに顔を埋(うず)めた。



「もうっ、片柳さんがこんな人だったなんて……」

「十夜でいい」

「え?」



急に落とされた声のトーンに、恐る恐るメニューから顔を出す。



「今はプライベートだからな。十夜でいい」



向けられた微笑からは、意地悪の色が消えていた。

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