君までの距離
「うわっ…ありがとうございます…あの、どうしてアタシに声を掛けて頂けたのでしょうか」
通話口でひと呼吸あいて、ふっと笑う吐息が届く。
『ん~~正直、勘なんだけどね。あ、この子書きたいものがあるんだな~って思ったのよ。まだ技術的には上手くいかないんだけど、使ってみたい魅力があったのよね』
「魅力、ですか」
『そ。誰にも染まらないオリジナリティがあると思った。だからまぁ本来なら、一人でコツコツやったらいいんだろ~けど、なんか使ってみたくなったのよ』
そこで初めて、アタシの涙腺が崩壊した。誰かに必要とされる事なんて今まで無かったから、アタシはぼたぼた垂れる涙も鼻水もそのままに答えていた。
「あ、アタシで、いっ…いいんれすか」
『あんたがいいの。アタシは』
「ありがとう、ございます」
ただもう感謝の気持ちしか湧かず、見えない相手に深々と頭を下げていた。