君までの距離
それからアタシは毎週、書き上げたシナリオを持って花山さんの仕事場に押しかけた。
花山さんはすぐに見てくれることもあったけれど、仕事が入っている時は預けて帰らなければいけないこともあった。
それでも二、三日中には電話をくれて朱の入ったシナリオを返してくれた。
その細かい朱の文字を追っていると、細やかな神経を使って作品を見てくれているのを感じられた。
花山さんに作品を見てもらうと、アタシのなかに息づいていた人物が形や熱を持ってそこに存在しているように立ち上がってくる。
ただの自己満足で、ネット小説を書いていた時は自分さえ楽しかったら良かった。仕事として皆で作りあげる登場人物は、誰かに好きになってもらうことが前提にある。
好きになってもらえるだけの魅力を持っていないと、作品として成り立たない。