恋人境界線
足の裏が火傷しそう。
海に駆け出してゆくみんなは、潮が染みて痛くないのかなって、思った。
パラソルの下。
泊まるペンションにチェックインしてすぐに、サークルのメンバーは海に来た。あたしは、女3人の部屋に当たった。カップルたちは、2人部屋。
「志麻ー!泳がないの?冷たくてめちゃくちゃ気持ちいいよ!」
友達の誘いを、作り笑顔でかわす。
あたしだけ水着にもならずに、ただ、パラソルの下で体育座りしていた。
きらきらしたみんなの歓声が、耳をつんざく。
「――飲む?」
砂の上に置かれた、ペットボトル。
隣には、身体中から水滴がしたった春臣。
「志麻、泳がなねえの?」
シカトをきめこんで、あたしは真っ直ぐに前方を見ていた。
だけど、平常心でいろって方が無理ってもんで。
「期待してたのに。志麻の、水着。」
「……っ」
春臣が発する一字一句が、あたしの体の熱い部分をより濃く焦がす。
じりじり。じりじりと、真夏の太陽より質が悪い。
「春臣ー!」
海の中から薫に呼ばれ、春臣は片手を挙げた。