恋人境界線
『志麻の友達を振ったら、志麻まで俺から離れて行くような気がして』
「…、」
「最初から本気じゃなかった、だなんて、酷すぎるだろ」
渡されたデジカメを、手のひらの中でぎゅっと握り締めた。
春臣が攻められるなら、あたしも同罪。
心の中で摘み取ったつもりでも、根は絶えずにまた芽吹き、好きの想いを宿してた。
「今日、薫の誕生日なんだ」
「…そ、そうなの?知らなかった」
「一緒に過ごしたいって言ったら、断られた」
「え……?」
「誕生日に一緒に過ごしたい、ってのはさ。男としては結構がっつり口説いた方だと思うんだけど」
ふうっと長い息を吐いて、真島くんが目を細める。
「俺にはもう、望みがねぇってことなのかね」
「…っ…」
いくつもの恋が、あった。
追い掛けて追い掛けて、とどかない。
すれ違って、すれ違って。交わらない、恋があった。
恋心を示す複数の矢印は入り組んで、絡み合って。
解かれるとき、その恋に終わりが訪れる。
「天気荒れてきたから、早いとこ帰った方がいいな」
弱々しく笑った真島くんに、あたしはなにも、言えなかった。