恋人境界線
「あいつ、みんなの仲が険悪になるのがいやで薫のこと振れなかったんじゃねえかなーとか思ってたんだけど」
「は、春臣が?そんなこと、考えてんのかな」
薫は可愛いし、告られてラッキーとか思ったんじゃないのかな。
「でもなぁ。あいつ、告白されて付き合うのって、俺らと仲良い女ばっかだと思わねえ?」
春臣の隣で、幸せそうに微笑む薫を見る。
そう言われたら、確かに高校生の頃から、春臣はあたしととりわけ仲の良い女の子と付き合ってきた。
一目惚れで告白してきた後輩や他校の生徒は、片っ端から断っていたっけ。
付き合うのは決まって、あたしの周りの子、だけ。
「なに話してんの?」
ドスンと大きな効果音付きで隣に座った春臣が、真島くんを睨み見る。
真島くんはなにも言わずに、亀みたいに首を縮めてフェードアウトしていった。
「春臣」
「なに」
部屋割りはどうなったの?
「あのさ、」
あたしの友達とばっかり付き合うのは、なぜ?
「な、なんか、怒ってる?」
「別に怒ってねえよ」
あたしだけが恋人になれないのは、なんでなのかな。