花護姫の鎮魂歌
序章

ミナトは美しい青年だった。他を寄せ付けない姿は気高き孤高の騎士。

彼の立つ戦場では轟々と火柱が上がる。剣に纏った火龍は業火の如く紅く、それを見た敵国の騎士達は皆畏怖の念を込めこう呼んだ。

『紅蓮の騎士』と。

堂々と向かっていく者。戦意喪失する者。逃げる者。それら全てをミナトは圧倒的な強さでなぎ倒していった。紅蓮の騎士の由来であるルビーのような緋眼。つり上がった鋭いその瞳は整った彼の顔立ちをさらに美しく見せた。

不機嫌そうにつぐんでいた口をゆっくりと開いて、低い声で言葉を放つ。


「日本へ向かう。神懸(かみがかり)の巫女を手に入れるぞ」
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