坂道では自転車を降りて
「。。。。。彼女はこんな噂を聞いたら、どう思うだろう?」
「さて、とりあえず、痴漢された事を思い出すだろうな。お前がただ寝てた事も。」
だよな。俺は頭を垂れた。
「その日に学校で会った時には、気にするなって言ってくれたんだけど。。」
「え、痴漢にあった子の方がお前に気にするなって言ったの?すごい子だな。」
「でも、噂を聞いたら、いい気分はしないよな。」
「どうだろう。わからんな。噂が耳に入ってない可能性もゼロではないし。」
「だな。噂話とか興味なさそうだし。」
「それに噂以前に、お前の顔見る度に思い出してるんじゃねぇの?肝心な時に寝てたアホ面を、見る度に殴りたくなってるかもな。」
「う。。」

「噂は噂だし、彼女が話題になってるわけでもない。今更、お前が気を揉むほどのものではないんじゃないかな。でも、気になるなら直接聞いてみたら?で、気にしてるようなら、あらためて言えばいい。本当は君を助けたかったんだって。」
「いや、いやいや、ちがうちがう。彼女に気がある訳じゃないんだ。ただ、あの光景がショックで。それに何も出来なかったのが、すごく、悔しいというか、情けなくて。男として。」
「その子に気がある訳じゃないの?」
「ない。」
「ふーん。」
原は目を細めてうなずく。勝手に勘ぐってるな。
「それに、彼女には気になる男がいる。」
「なんだ。つまらん。いや、それはそれで面白いか。」
面白いってなんだよ。俺に演劇部に集中して欲しいんじゃなかったのか?
「そういう問題じゃないだろ。」
「そうだな。わかった。。。。で、その子、誰なの?」
「。。。。お前、話、聞いてた??」
やっぱり話すんじゃなかった。
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