坂道では自転車を降りて
「そんな、私だけのせいじゃないし。」
リハをしていた役者達まで、集まって来た。
「大野さん、なんとかできないの?明日だけでも。」
「そんな、だって、あっちが。。っていうか、なんで皆知ってるの?」

「そんなのなぁ」「なぁ」
「見てればわかるよ。」「うん」
「神井、ほんと分かりやすいしな。」「うん。」
「イチャイチャしてるの見て、ブチキレてたし。」
「彼女だからって台本まで書き換えて、あいつほんと横暴だよな。」
「別れちゃったの?本当に?」
「それにしても、なんで今日なのさ?」
「もうちょっとねぇ。。考えて欲しいよね。」

 なんなのこれは!みんな面白がって。神井くんがみんなに知られたくないと言った理由が分かった気がした。
「そんな。私だって、、、」

 腹が立ったのと悲しいのとで、言葉が出てこない。何か言うと泣き出してしまいそうだ。震えながら立っていたら山田くんが私の前に立った。
「やめてくださいよ。大野先輩だけが悪いんじゃないはずだ。大野先輩だって、神井先輩と同じくらい傷ついてる筈でしょう。それでも、みんなに迷惑かけないように、がんばってくれてるんじゃないですか。」
 優しい言葉に気が緩んでしまって、涙がこぼれそうになる。
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