坂道では自転車を降りて

 それから、一緒にパンをかじった。ホットだった珈琲は指先を暖めるには良いが、飲むとすっかりぬるくなっていた。

 部活動のない日に、こんなに長く女の子と二人きりで部室に留まるのは、なんだかイケナイ事をしているような気分だ。実際、ちょっとしてるし。。これ以上密室にいたら、ヤバい事にならないか自信がない。

「この後、どうする?一緒に、どこか行く?」
「どこかって?」
「。。わからん。女の子はどういうところに行くの?」
「放課後は1人なら本屋や文具屋に寄るかな。友達とはアイスクリーム食べたり、駅前でアクセサリとか服を見に行く事もあるけど、私あまり興味ないし。」
そうだな。女の子はゲーセンなんて行かないよな。危ないし。
「本屋かぁ。」
本屋も悪くはないが。。。
「休みの日は友達と美術館へ行ったりするよ。」
美術館ね。俺には未知の世界だ。
「。。。。それはまた今度だな。」

「今日はもう、じき暗くなるし、君がパン食べ終わったら、ゆっくり歩いて帰るってのは?」
家まで2人でぶらぶら歩いたら1時間くらいかな。その辺が、現実的な路線だ。
「うん。そうしよう。」
「私、散歩も好きだよ。」
そうだな。君となら、散歩も楽しいだろうな。
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