坂道では自転車を降りて
 彼女の服装に合わせるんだったら、俺も通学用じゃないカッコいいコートが良かったのかもしれないけど、そんなしゃれたものは持ってない。
 考えてみたら、彼女がおしゃれして現れることは容易に想像できたはずなのに。兄貴のところから借りたらよかったんだ。ジーンズにジャンバーはないよな。でも、まあいいか。逆になるよりマシだろう。

 それにしても、こんな可愛い格好で来てくれるとは、想像以上だ。ひとりニマニマしていると、彼女が突然とんでもない事を言った。
「お尻、格好いいよね。」
「お尻!?」

 俺の尻のことか?突然何を言い出すんだ。女の子のコメントじゃないぞ。俺が二の句を告げずにいると、
「あ、ごめん。つい美術部の感覚で。。」
「ちょっと、びっくりした。」

「夏に体育館で練習してるときとか、後ろ姿がすごく格好良くて、ドキドキしてた。今までは座ってる君しか描いた事なかったから、今度、立ってる神井くんの後ろ姿が描きたいかも。この前、美術部に来たモデルの人は、脚が短くて、描いてて楽しくなかったんだよね。」
「。。。。。」
 返事に困るな。。純粋に、絵が描きたいだけだとしても、、なんかズレてるような気が。でも、まあそれが彼女なんだろうな。。
程なく映画が始まった。
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