坂道では自転車を降りて

「もしかして、金曜に一緒に帰れなかったからって拗ねてんの?」
「拗ねてなんかないよ。子供じゃないんだから。大丈夫だよ。」
大げさに笑いながら言うけど、彼女が大丈夫って言ったときは、要注意だ。
「だったらなんで、一週間も電話もメールもなかったの?」
「別に、用が無かったし。笑」
そーゆーキャラ設定に変更か。さっきは、違う顔して、ちがう事言ってたじゃないか。

「用が無くたって、普通するんじゃないの?約束して一緒に帰ったり、したらいいじゃん。」
「そうだね。でも、君からもなかったよ。」
笑顔が消えて無表情になった。
「。。。。。」

そうだった。俺も連絡しなかった。もっと早くしときゃ良かった。
「もう 帰りなよ。」
俯いてポツリと言った。
「は?」
何言ってんの?
「自転車乗って、先に、帰ったら?」
彼女は立ち止まった。
「なんで?」
そんなこと出来る訳ないじゃん。どうせこの後、独りで泣くんだろ。意地っ張り。
「私は歩いて帰るから。」
「嫌だよ。また男に絡まれたりしたらどうすんだよ。」
「大丈夫だよ。ちゃんと、明るい、道を。。」
「泣けよ。泣くんだろ?」
「。。。。ぅっ。。」
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