坂道では自転車を降りて
「えっ。。。あ。。どうしたの?」
抵抗はしないけど、戸惑っている。俺も戸惑ってる。
「どうって言われても。こうしたくなったとしか。君が変な事言うから。」
「なんか変な事、言ったっけ?」
「もう、いいから黙って。」
「でも。」

 細くて柔らかい身体を包み込むように抱きしめる。首筋に顔を埋めて、彼女の匂いを嗅いだ。誰かが横を通り過ぎる。

「人が。。」
「わかってる。」
「。。。。」
「ねぇ、今日も公園に行っても良い?」
「えっ。でも、今日は。。」
もう遅い。公園に寄れるような時刻ではない。

「だよな。ごめん。やっぱりいい。」
「どうしたの?」「どうもしない。君に触りたかっただけ。」
 30秒を数えて、彼女を解放した。
「ごめん。帰ろう。」

 自転車に跨がり後ろに乗せて走り出す。さっき通り過ぎた人を追い越した。同じ学校の生徒だったんだ。「飯塚くんだ。」彼女が言った。
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