坂道では自転車を降りて

 坂道で自転車を降りると、
「やっぱり、公園に行く?」
伺うようにこちらを見ながら、彼女が言い出した。
「いや、いい。ごめん。」
できるだけ優しく笑顔を返した。
「私も、ちょっと行きたくなったというか。。」
それは嘘だ。それくらい分かる。
「断ったからって、拗ねたり嫌いになったりしないよ。今日はもう遅いから、止めとこう。」
「うん。」

「ねぇ、美術部と演劇部とどっちが楽しい?」
「どっちって、全然違うし、もともと美術部はお遊びだから。」
「演劇部の方が本気だったの?」
「本気というか優先ね。美術部の活動は基本個人だし。本気の人は、本気で仕上げてるよ。私はストレス発散に描いてるだけだから、仕上がらなくても気にしないし。まあ、本気じゃないね。」

 美術部にも一応の居場所はあるようで、ほっとした。でも、本気じゃないのか。演劇部では、いつも張りつめているんだろうな。先輩として舐められないように。女として身を守る為に。1年の前で泣いた後も活動に出てはいるらしいが、やりにくいだろうな。

『もう辞めちゃえよ。』喉まででかかる。でも。。。
続けるにしても、辞めるにしても、彼女が自分でやりたいようにやるしかないんだろう。あと2ヶ月半。せめて俺にできることが、何かないのだろうか。

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