坂道では自転車を降りて
一本キメるって、柔道じゃねぇよ。
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「お前さ、もうちょっと場所考えたら?昨日の、お前だよな?」
朝から飯塚に注意された。昨夜の事だろう。
「そうです。すんません。ちょっと、テンパってて。」
「別にいいけどさ、大野さんが可哀想じゃん。もがっ。」

デカい声で彼女の名前を言われ、思わず飯塚の口を塞いだ。北村さんに聞こえたら、また怒られる。
「あの、、もう少し小さな声でお願いします。」
言いながら、目で北村さんを捜す。トイレにでも行っているらしく不在だった。ほっと胸を撫で下ろしていると、原と目が合った。このクラスは事情を知ってるヤツが多すぎる。

「あんなの、俺だって見たくねぇし。」
飯塚は声を落として続けた。
「そうですね。反省しています。」
また、ため息が出てしまった。
「なにそのため息。うまく行ってるんじゃないの?」
「。。。おかげさまで、いろいろ、揉めてるというか、揉めっぱなしで。」
「あの先の神社の裏に小さな公園あるから。せめて、そこ行けよ。」
「的確なアドバイス。ありがとうございます。」
「いいよな。揉めたってなんだって、大野さんと一緒に帰ってんだから。ケツに乗っけちゃってさー。見せつけてくれるよなー。」
「。。。。。。」
そうだよなぁ。ため息ついてても仕方ないよなぁ。思いながらまたため息がでる。
(ため息をつくと幸せが逃げるよ。)
彼女の声が聞こえる。

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