坂道では自転車を降りて
泣いたのは、神井先輩のせいですよ

放課後、部室に着くと早速、織田を探す。珍しく椎名がまだ来ていない。織田は倉庫にいた。
「織田。今日、活動後に残れる?」
「えっ。あぁっと、今日はちょっと用が。。」
「無理?」

 突然の呼び出しにかなり驚いた様子で逃げ腰だ。本当に用があるのか怪しい。だが、こっちも逃がすわけにはいかない。
「はぁ。」
はっきりしないやつだな。

「だったら、今、ちょっといいかな。」
「い、今ですかぁ?え、俺だけ?」
「ここじゃあ,まずいから、中庭行こう。お前に頼みがあるんだ。」
「え、でも活動が。」
「すぐ終わる。」

歩き出した俺に織田は渋々着いて来た。出入り口で多恵とすれ違う。
「あれ、珍しい組み合わせ。」
「そうか?」
俺は笑顔でとぼけた。織田は気の抜けた返事とは裏腹に、ムッとした表情でついてきた。教室の窓を眺めならがら、俺が中庭の花壇の縁に腰掛けると、織田が切り出した。

「大野先輩の事ですよね。」
なんか、こいつ怒ってないか?
「そうだよ。」
「俺も殴られるんですか?」
「あ?あぁ。。」
それでムッとしてたのか。
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