坂道では自転車を降りて

「なんで俺だけ?」
「お前も、殴られるようなことしたの?」
「結果的に泣かせちゃいましたから。でも、俺達、泣くほどの事は言ってないですよ。突然泣くから、俺達の方がびっくりですよ。」
「まあ、座れよ。殴るつもりで呼んだんじゃない。」

さて何から話したものか。考えながら織田を見る。織田は座らずにそのまま立っていた。俺は話を続けた。
「大野さんをみんなでからかったんだろ?」
「。。。。。」
「先輩としてのプライドが傷つけられたんじゃないの?」
「もちろん、それもあるかもしれないけど。多分違うと思います。大野先輩の事を言ってたんじゃないし。」
「織田には、何か心当たりあるわけ?」

織田はムッとした顔のまま俺をじっと見ていたが、しばらくして意を決したように話しだした。
「先輩が泣いたのは、神井先輩のせいですよ。」
なんでここで俺が出てくるんだ?確かに俺とのことをからかわれたと言っていたけど、だからって俺のせいになるのはおかしいだろ。

「。。。なんで?」
「2学期のことですよ。ずっと上手く行ってなかったんです。先輩達は大野先輩にばっかり負荷かけ過ぎです。舞台監督なのに、役者にまで駆り出されて。こっちの作業はどうなるんですか。」
「でも、それは部の総意だっただろ。お前らだって反対しなかった。」
「最初はね。もちろん俺達だってがんばりましたよ。先輩いなくたって作業はできるし、指示もちゃんと出てましたけど、肝心な時に、いねぇんだもん。不便でしょうがねぇし、進まねえじゃん。こうすれば良かったのにとか、後から言われたって、俺達のせいじゃねーし。また、呼び出されて舞台に行く時、大野先輩が微妙に嬉しそうなの見ると、すげー腹立つんですよね。」
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