坂道では自転車を降りて

 嵐のような激情が通り過ぎた後、彼女は俺の腕の中で、ぐったりと動かなくなっていた。

うわー。またやっちゃったよ。それもこんな路上で。
「多恵、大丈夫?」
声をかけたが、彼女はまだぼぉっとしていた。
「。。。。う。」
「ごめん。俺、また、やりすぎた。」
彼女は、無理矢理起こされた時みたいに、怠そうなため息をつきながら、身体を起こした。しまった。もう少し、このまま休ませてやれば良かった。
「。。。。大丈夫。いいの。」
小さな声で淡々と答える彼女はいつもとは別人のように大人しくて、なんだか痛々しい。

「はぁ。。本当に、ダメだな。俺。」
「そんなことないよ。いいよ。大丈夫だよ。」
覚醒したのか、次第に言葉がはっきりしてくる。俯いたまま何かを振り払うように頭を振ると、くねくねの髪の毛が揺れた。顔が見えないから、どんな表情をしているのかわからない。

「もうしないから。本当に。もうしない。」
自信ないけど。。
「もう、してくれないの?」
髪の毛の間から声がする。
「うん。もうしっ、、えっ、、して欲しいの?」
マジで?
「。。。今度は君の部屋がいいかな。外は、寒いし、恥ずかしいから。」
ああ、そういうことか。。びっくりした。っていうか、本当に俺の部屋ならいいの??

 
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