坂道では自転車を降りて
そうだ。彼女がどうだろうと、俺がもう離せないんだ。俺で良いかどうかなんて、考えたって無駄だ。思ったら笑えた。
「ふふっ。」
「何?」
「次はもっと先まで行っても、いい?」
「えっと、、ごめん。その、先は、まだ、、待って欲しい。」
「そっか。わかった。ちゃんと自分で答えてくれたね。ありがとう。」
俺は笑顔で、もう一度、力強く彼女を抱き締めた。
もう結構な時刻になってる筈だ。彼女を帰さないと。時計を見ると7時半を過ぎていた。
「やべっ。早く帰らないと。」
「本当だ。」
手を繋いで階段を駆け上がり、自転車のところまで戻る。自転車にまたがる俺を見ながら、彼女が言った。
「私ね、女の子で良かった。」
「そりゃそうだ。」
「私、自分が女の子に生まれちゃったのは、何かの間違いだと思ってた。男の子に生まれたかった。だって、男の子はいいかげんで、めちゃくちゃでも、男の子だからって許されてる。周りなんて気にしてなくて、やりたいことしてて、うらやましかった。それに、泣いたりしないし。」
「男だって、たまには泣くよ。」
俺にだって、君を想って泣いた夜があったよ。