坂道では自転車を降りて
大野さんは、何貰ったら喜ぶと思う?

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昼休み部室へ向かう途中に原が聞いて来た。
「生駒さんへのお返し、どうする?」
「あ?」
「ホワイトデーだよ。バレンタインに貰ったじゃん。」
「あーそうか。」
「べつに期待してないだろうけど、大野さんのはもう買ったの?まだなら、ついでに買って来てもらおうかと思って。」
「あーそうか。」
「あーそうかって、お前、忘れてたの?」
 そうだ。多恵には何を返せば良いんだろう。考えてなかった。苦労して手作りチョコ作ってくれのに、買ったクッキー返して良いんだろうか。でも、俺がお菓子作るのは変だろ。

「普通、何返せばいいのかな?」
「べつに何でもいいんじゃね。その辺で売ってるので。2人合わせればそれなりの金が使えるし。山田も誘おうか。」
「いや、生駒さんのじゃなくて。」
「。。。そんなの、俺に聞くなよ。っていうか、そっちも、本気で忘れてたの?」
「。。。。」
「大野さん、かわいそ。」

そうだ。考えて準備しておかないと。部室に入ると、裏方の一年が4人で何か話していた。

「大野先輩は『この箱って無駄だよね。』とか言いそう。」
「だな。普通に皆で食べれる袋のお菓子で良いんじゃない。おこぼれというか、失敗作食わされただけだろ。お返しなんかいらないんじゃないの?」
こっちも、ホワイトデーのお返しについて相談しているらしい。
「パンツあげたらどんな顔するか、見てみたいなぁ。」
椎名が言う。こいつは本当にセクハラ親父だな。多恵も大変だ。
「椎名、それ完全にセクハラだよ。」
やっぱり高橋にツっこまれてる。
「馬鹿だな。本気で蹴られるぞ。」
「それこそ本望なんじゃね?」
「あっ。神井先輩。」
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