坂道では自転車を降りて
「食べ終わったら、散歩に行こう。公園か、古本屋まで歩こう。」
「うん、そうだね。」
「だから、さっさと食おうよ。」
俺の皿はとうに空になっていた。
「あ、ごめん。」
彼女はまた皿に取りかかったが、明らかに苦戦し始めていた。俺は彼女の皿に残っているチャーハンを食べ始めた。
「かあさん、これ多いよ。俺と同じ量あったじゃん。」
「あら、ごめんなさい。よくわからなかったから。そうよね。」
「スミマセン。美味しいから食べられるかと思ったんだけど、やっぱりちょっと多かったみたい。」
平和だ。あまりにも平和だ。今の所は。。
昼飯を終えて、古本屋までの道を2人で散歩する。
「いきなり昼飯出てきて、びっくりしたろ?」
「美味しかったよ。優しくて素敵なお母さんだね。お料理も上手だし。」
「別に優しかないよ。」
「チャーハン作ってくれたじゃない。」
「まあ、ねぇ。。」
それよりも、
「君、緊張しないの?」
「そりゃ、少しはしたけど。あんまり取り繕っても意味ないじゃん。」
「そりゃそうだけど。」
この自信はどこから来るのか。
初夏の日差しがピカピカと眩しく街を照らしていた。かつて自分がランドセルを背負って歩いた道を、今、彼女が歩いている。涼やかな風が彼女の髪をなびかせる。彼女の頬が、肌が、全てが生まれたてのようにピカピカ光って見える。
手を繋ぎたいような気もしたけど、ピカピカの彼女が汚れてしまうような気がして言いだせなかった。
今朝、2時間、2人きりで部屋で勉強したけど、不思議なくらい変な気がおきなかった。このピカピカの陽気のせいなんだろうか。