坂道では自転車を降りて

 飯塚がいるのが気になったけど、電話に出た。
「。。。。」
長い沈黙。
「君は、、、何がしたいの?」
どうしてそんなことを言ってしまったのか、自分でもわからない。ただ、口からでてしまった。
「。。。。」
相変わらず駅の音が聞こえてくる。しばらくして、電話は切れた。盛大なため息が出た。横で聞いていた飯塚が、厳しい顔で俺をみていた。

 グランドに戻ると、試合はもう終わっていた。俺達のクラスは負けたらしい。だが、準優勝でも大したものだ。2年の頃ならば祝勝会へと流れる所なのだが、俺達は受験生だ。皆粛々と帰り支度を始めた。勝ったメンバーの数人だけがどこかへ行くようだった。
 俺も帰り支度をして教室を出た。昇降口で無意識に彼女を捜している自分に気付く。今日はもう来ない筈だ。でも彼女はいつも現れない筈のところへ現れて俺を驚かせる。何も無かったような笑顔で、今ここに現れたら、きっと俺も笑って許してしまうだろう。

 昇降口でぼーっとしていると、今西を見つけてしまった。陰気な顔でこそこそと靴を履き替えている。頭に血が上って、目の前が赤くなる。俺に気付いた今西が目を逸らした。俺は無意識に今西に走り寄っていた。

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