坂道では自転車を降りて
そんなに言うなら別れよう。
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「メグに余計な心配させちゃったじゃん。告げ口なんてずるい。」
 放課後、北村さんに協力してもらってなんとか彼女を捕まえた俺は、自転車を押しながら歩いていた。彼女は自転車の向こう側を1人で歩いた。
「だって、君が会ってくれないから。それに、学校サボった君が悪いんだろ。」
「約束したのに、学校に来なかったのは、ごめん。そのうちちゃんと説明する。今は、少し待って欲しいの。」
「なんで待たなきゃいけないんだよ。隣にいたって、なんだってできるだろ。」
「ひとりで考えたいから。」
「ひとりで考えた答えなんか意味ないだろ。どうせ俺がひっくり返しちゃうんだから。」
「勝手な事言って。。。本当に自己中な人。」
どうしてだろう。いつも通りのテンポで話せてる。昨日までの2人が嘘みたいだ。

「飯塚に聞いたよ。海で弁当食べたんだって?」
「飯塚くんに電話かけさせるのも、なんかズルいよね。私も分かってて出たんだけど。」
「海に行くなら、俺も誘ってくれたら良かったのに。」
「そうだね。でも君に」
彼女はそこまで言ってちょっと言い淀んだが、続けた。
「君に会いたくないから、学校に来なかったんだけどね。」
そんな大声で言わなくても。
「やっぱりそうなんだ。ははは。」
はっきり言われてしまった。これはやばいかもしれないな。笑う声がかすれた。彼女の声も少し沈んだ様子になった。

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