坂道では自転車を降りて

「なんてことしてくれるのよ。この自己中。ドS。もう別れなさいよ!これ以上、多恵をいじめて何になるのよ。多恵を壊したいの?これ以上あんたに振り回されたら、多恵は気が狂っちゃう。」
「高校3年なのよ。恋愛なんかしてる場合じゃないの。人生かかってるの。分からないの?」
 北村さんはすごい剣幕てまくしたてているけど、、どこから電話してるんだろう。いやそれよりも、俺にどうして欲しいのか、イマイチはっきりしない。

 北村さんは、夏休み中なのに、俺が彼女とよりを戻した事をもう知ってる。拗れてた事も知ってる。それだけ彼女が北村さんを頼りにしているってことなんだろう。北村さんに俺達の事を理解してもらえたら、こんなに心強い味方はいないのに。嫌われてしまったのは、本当にマズかったなぁ。

「もしかして、俺に会うなって、彼女に言った?」
「言った。」
「俺と別れろとか?」
「言ったわよ。悪い?」
「そのほうが彼女のためだと、本気で思ってる?」
「思ってる。」
うーむ。なんとか今からでも、馬を射ることはできないだろうか。

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