坂道では自転車を降りて
俺は気分を変えたくて、彼女から視線を外してグラウンドを向き、肩を少し乱暴に抱き寄せた。
「もういい。忘れよう。」
「今でも今西君と会うのは、正直怖くて。でも、申し訳なく思ってることだけは、伝えたくて。」
だぁから、その話はもうやめようって言ってるじゃないか。本当にこういうところだけは、なんとかならんかなぁと思う。
「それは、もう良いんじゃないか。君が気にする必要はないよ。というか、ヤツに嫌われると何か困るの?」
「。。。とくに困らないね。」
「だったら、もうあいつに関わるなよ。君のそういう所が誤解を招くんだぞ。」
多恵は怪訝な顔で俺を見た。分かってないらしい。
「君が、そういうのが苦手なのは、もう分かったけど。このままじゃ、君だって困るだろ。同じような目にまた合わないように気をつけて、頼むから。」
「はい。」
「嫌とハッキリ言ってやるのも大事なんだよ。今西のためにも。分かる?」
「そうだったね。」
「この際だから言っとく。君は自分には女の子としての魅力がないと思ってるみたいだけど、それは違う。君は誰が見ても女の子だし、ちゃんと魅力的なんだ。外見だって結構かわいいほうだと思うよ。飯塚だって、織田だって、椎名だって、君を抱き締めたいと思ってた。先輩も川村も。そうだろ?」
彼女は一瞬ぽかんとした後、次第に赤くなって、あわあわ言いだした。