坂道では自転車を降りて
なんだかこのところ、彼女を叱ってばかりだな。だが、彼女の方もあまり口答えしなくなってきた。以前はいちいち口答えしてきて、ゲンナリしたけど、最近は少し素直になってきたように思う。ってか、これだけトラブルが続けば、彼女もしおらしくならざるをえないよな。
ふと、下に目をやると、後夜祭は淡々と進行していた。スピーカーから音楽が流れていることはわかるけど、何をしているのかはよく解らない。2人でしばらく眺めていたが、彼女を叱った余韻が消えない。
「ごめん。後夜祭の夜にする話じゃなかったな。」
俺は彼女の頭をポンポンと撫でた。彼女は黙って俺に身を寄せたので、俺はしっかりと肩を抱いてやった。
少しすると、眼下の景色に飽きたのか、彼女がキョロキョロしたかと思うと、俺から離れて歩き出し、どこかへ行ってしまった。こーゆーとき、普通の女の子なら勝手にふらふらとどこかへ行ったりしないだろうに。現に他のカップルは大人しくグラウンドを眺めていて、誰も動き回ったり、ましてや1人になったりしない。考えてみたら、彼女は昨日、俺と別れた後、文化祭を一人で回ったのだろうか。普通、友達と一緒に回るような気がするが。。とくに女子は。だが、彼女は普通ではない。嬉々として一人で校内を徘徊する彼女が容易に浮かんでしまった。まさか生駒さんと回っていたとも思えないしな。
しばらくすると彼女が戻ってきて言った。
「ね、私、あっちのほうが良いかも。」
「校舎の窓が見えるほう?」
「うん。」