坂道では自転車を降りて
「なんだろう。あまりちゃんと考えた事なかった。でも、上手く言えないんだけど、、いつの間にか神井くんの事ばかり考えてしまったり、神井くんのために何かしたくなったり、神井くんに褒められたら、すごく嬉しくて。叱られたら涙が出るくらい悲しくなったりするの。どうしてだかはよく解らないけど、私にとって神井くんは他の人と違うの。」
「他の男にはそうならないわけね。」
「ならなかった。神井くんが初めて。」
「だから神井が好きなんだという結論?」
「うん。」
相変わらず、照れたり言葉を濁したりしない。全うすぎる回答だ。俺の方が恥ずかしい。
原はふうん。と分かったような顔をして、また言った。
「だったら、同じように感じてる人が他にもいたら、同じように神井を好きな子がいるとしたら、どう思う?」
「嬉しいよ。」
「はぁ?」
思わず横から口を挟んでしまった。嬉しいってなんで??
「嬉しいの?」
原は慎重に聞き返す。
「生駒さんのことだよね。それって神井くんが素敵だからでしょ?」
彼女の笑顔が微妙に変化する。自分の答えに自分で戸惑っている。
「本当に嬉しいの?神井が生駒さんを選ぶとは考えないの?」
まてまて。そんな誤解を生むような質問をされたら困る。原は生駒さんから何か聞いてるのか?それとも非常階段で彼女を慰めていた俺を見ていたヤツがいて、根も葉もない噂を流されてるのか?そうなのか?俺は冷や汗の出る思いで彼女の方をみた。