坂道では自転車を降りて
 さらに数日が過ぎ、学校はテスト期間に入った。駅前で本屋に寄ろうと電車に乗って帰る。駅を降りると、目の前の椅子に大野さんが座っていた。北村さんが横にいる。一目で気分が悪いのだとわかった。

「あ、神井くん。良いところに。暇?」
北村さんが俺を見て近づいて来た。
「メグ。いいって。」
大野さんが制止する。
「大野さんどうしたの?気分悪いの?」
「うん。軽い貧血みたい。あたし今日はこの後、用があるのよ。あの子を頼めない?バス同じだよね?」
「1人で大丈夫だよ。神井くんに迷惑だから、やめてよ。」
「えっと、俺、男だけど、大丈夫かな?」
「ちょっと休めば大丈夫だと思う。女の子の恒例行事だから。」
あっけらかんと、言いにくい事を言うな。
「いいよ。大丈夫だって。」
彼女が困って言う。
「じゃあ、後よろしく。」
俺が応える前に、北村さんは走って帰ってしまった。

「大野さん、大丈夫?」
「うん。大丈夫だから、帰っていいよ。」
「そういう訳にはいかないでしょ。一応頼まれたし、何かあったら困る。誰か女の子の知り合いが通ったら、言って。代わってもらうから。」
「ごめんね。。。はぁ。。」
俯いて息を吐く。なんか、すごく辛そう。

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