甘い恋の賞味期限
 だから、千紘の性格のすべては、史朗の責任。

「母親は、必要……ですよね」

「えぇ、そうよ! だからね、史朗さんも前向きに考えましょう」

(男親だけじゃ、この先、千紘が大きくなった時、フォローできないことも出てくるだろうし。……やっぱり、真剣に探した方がいいのかもしれないな)

 まぁ、今日の見合いには1ナノも期待はしていないが。




*****

 プリンとお昼のサンドイッチを堪能した千紘は、夕方まで千世の実家に居座っていた。
 その間、千紘は名前の練習やら、テレビやらを見ていた。
 そろそろ送って行くと言えば、千紘は嫌そうな顔をしていたが、泊まらせるわけにはいかない。両親が笑って、いいのよ〜とか言い出しそうで怖かったから、さっさと連れて来た。

「どうだ! 上手いだろ!」

 マンションの前、繋いでいた手を離すと、千紘は練習し続けた中で1番上手に書けたものを見せびらかす。
 その中には何故か、千世の名前もある。

「千世の名前は簡単でいいよな〜」

「そうね。画数が少ないと、助かるわ」

 会社の友人である愛菜の名前とか、画数多くて大変だなぁ、とよく思うし。

「このプリンは、晩ご飯を食べた後に食べなさい。1個は多いから、家政婦の静子さんでもお父さんでもいいから、分けて食べるのよ?」

「全部オレが食べたい……」

「ダメ。帰ったら、冷蔵庫で冷やすのよ?」

「……分かった」

「今、どうせ千世は見てはないんだから、自分ひとりで食べてもバレないだろう。とか思ったわね?」

 瞬間、千紘が分かりやすいくらいにビクッと肩を震わせた。

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